2017年07月31日 沖縄の海
生きる海の宝石・ウミウサギに出会おう!

ジュエリーであり魔よけだったウミウサギ
ウミウサギは水深20mまでのサンゴ礁に暮らす巻貝。白い卵形の貝がらを持つことから「Egg Shell」の英名を持っています。
日本では、丸いふくらみを持つ白い貝がらを、背中を丸めた白ウサギや、お盆に雪を盛って作る「雪兎」になぞらえてウミウサギと呼ぶように。
江戸時代の文献には既にその名前が登場しています。
八重山ではウミウサギを 「ユーナッケ(夜鳴貝)」 と呼びます。
魔よけとして妊婦のいる部屋の外にかけておくと、夜風にあたって音がするからだそう。
赤ちゃんの夜泣きをしずめるおまじないに使われたからという説もあります。
モアイで有名なイースター島では、ウミウサギをあしらった首飾りが見つかっています。
美しいウミウサギの貝がらは貴重なジュエリーであり、魔よけの力を持つありがたいアイテムだったのです。
大きさ、わずか1cm! ウミウサギの見つけ方
ウミウサギの仲間はとても小さく、多くは貝がらの大きさが1cm程度しかありません。
そのため、浜辺で貝がらを見つけるのも、海の中で姿を観察するのもとても大変。
でも、ウミウサギの習性をつかんでおくと、ダイビングやシュノーケリングで発見することもできますよ。
ウミウサギはサンゴを住みかとし、サンゴを食物としています。
ウミウサギが好むのは「ヤギ」や「ウミトサカ」など、サンゴの中でも殻の柔らかい「ソフトコーラル」と呼ばれる種類。
そのため、ウミウサギを見つけたいなら、まずヤギやウミトサカの多いダイビングポイントを知っておく必要があります。
マリンショップを通じて情報を入手しておきましょう。
サンゴ礁の浅瀬に潜ったら、岩場の少し高くなった場所から探していきます。
ウミウサギは岩礁の上側にソフトコーラルが生えていることを本能的に知っているので、自然と上へ上へと集まる性質があるのです。
ウミウサギはサンゴの枝と枝の間に隠れています。
ヒントになるのは「食痕(しょくこん)」、つまりウミウサギがサンゴを食べた痕。
食害されて「骨軸(こつじく)」と呼ばれる芯の見えているヤギ類や、ポリプ(本体)の縮んでいるウミトサカがあったら、近くにウミウサギがひそんでいるサインです。
ウミウサギ観察の注意点
本物のウミウサギと出会ったら、イメージとうらはらな真っ黒い姿に驚くはず。
透き通るような白い貝がらを持つウミウサギですが、普段は「外套膜(がいとうまく)」という表皮にあたる器官を、貝がらをくるむように露出させています。
貝がらを鑑賞されることの多いウミウサギですが、むしろ独特の美しさを持つ外套膜のとりこになってしまうダイバーもいるそう。
この外套膜、とても破れやすいので触らないように気をつけてください。
外套膜にタッチされるとウミウサギには大きなストレスとなります。
サンゴ礁の浅瀬と言っても穏やかなだけではありません。
ポイントによっては潮流がとても速いことも。信頼のおけるインストラクターとともにダイビング、シュノーケリングを楽しんでください。
潮に流されそうになると、ウミウサギは糸のような粘液を分泌してサンゴにしがみつきます。
穏やかでない海は、いつもと違うウミウサギに出会えるチャンスでもあるのです。
ウミウサギは夜になると活発に食事を始めます。
よりイキイキとした姿を観察するならナイトダイビングもおすすめです。
それでは、よい旅を!