2017年03月09日 ジンベエザメ
魅力満載のジンベエザメが絶滅の危機!

ジンベエザメ、名前の由来は着物
世界最大のサメであり、世界最大の魚でもあるジンベエザメ。体長10~12メートルと実際に見ると迫力満点です。さぞ怖い生き物かと思いきや、そうではないエピソードがいくつかあります。
ジンベエザメの名前の由来が一風変わっています。和服に「甚平」というものがありますが、体の模様がこれに似ていることから「ジンベエザメ」と呼ばれるようになったという説。そして「甚兵衛羽織」に姿形が似ていることから命名されたという説もあります。さて、真実はいかに?想像力を働かせてみましょう。
「漁業の神」と呼ばれる理由は?
この巨大なジンベエザメ、実は地域によっては「漁業の神」と崇められてきました。日本人とジンベエザメの関係は密接なようです。不思議に思われるかもしれませんが、なぜジンベエザメは「神」なのでしょうか。
ジンベエザメは主にプランクトンを主食としていますが、同じくイワシなど小さな魚もプランクトンを食します。そして、この小さな魚を狙うマグロなどの大きな魚もそこに集まってくるのです。ジンベエザメいるところに魚あり、と漁師は経験上、知るようになります。それゆえ「漁業の神」なのです。静岡県沼津市にはジンベエザメを祭った慰霊碑があるほどです。
漁師にも愛されているジンベエザメですが、実は現在絶滅の危機に瀕しています。国際自然保護連合(International Union for the Conservation of Nature / IUCN)のレッドリスト(世界の絶滅のおそれのある生物種のリスト)では絶滅危惧種に指定されています。自然界の生き物たちには敵が多く、ジンベエザメも例外ではありません。海の中にはクロカワカジキやヨシキリザメといった敵がおり、大人になる前、つまり小さな体の時に食べられてしまうこともあるのです。
なぜ絶滅の危機に?
しかし、ジンベエザメにとっての最大の脅威は実は人間だといわれています。中国、香港、台湾、インドネシア、インドなどで捕獲されていたことが知られています。そのおとなしい性格や、水面近くを泳ぐ特性を人間が逆手に取っているのです。性格の穏やかさはダイビングで近づくことができるほどで、人間を襲うことはないといわれています。
では、なぜ乱されてしまったのでしょうか。その理由は高級食材で知られるフカヒレや、健康食品などで使われる魚油を採るためです。
数年前には中国の浙江省(せっこうしょう)で世界最大のジンベエザメ解体処理工場が見つかったと、環境保護団体「ワイルド・ライフ・リスク」より報告されています。この工場では毎年およそ600匹のジンベエザメを解体処理していたといわれています。
絶滅の危機にある理由はこれだけではありません。海洋生物の乱獲や環境汚染、地球温暖化なども原因とされています。魚が減ることで海の生態系が乱れてしまいます。魚が減ると、その魚に食べられずに済み、生き延びてしまう生き物が増える一方で、逆に食べるものがなく減ってしまう生き物も出てきます。ジンベエザメは後者になります。
海の生き物たちが存在するには意味があります。そして、ジンベエザメもまたしかりです。それぞれの生き物が生態系を維持する役目を担っているのです。生命の大切さ、ジンベエザメに注目してみましょう。

2017.03.09 ジンベエザメ
魅力満載のジンベエザメが絶滅の危機!

2017.03.09 ジンベエザメ
グラスボートでジンベエザメ観察
そんな方におすすめなのがグラスボートによる海中観察です。船の中から、体を濡らすことなく魚たちの生態を間近に楽しむことができるのです。
透明度の高い沖縄の海だからこそ実現できるアクティビティを、ぜひ体験してみてください。