2017年04月20日 海の生き物
最強の海の生き物・シャチ 「海の王様はオレだ!」

海の暴れ者・ホオジロザメとの比較
海で「強い生き物」といえば、多くの人がサメを思い浮かべますよね。映画のモデルになったともいわれるホオジロザメなどが、特に恐ろしいイメージで有名です。
だからこそ、シャチが海でいちばん強いと聞いて、意外に思う人もいるかもしれません。では、シャチはサメとくらべて、どんな特徴があるのでしょうか?
まずは泳ぐスピード。シャチは狩りの際に、時速60キロ~70キロで泳ぎます。
一方のホオジロザメは時速30キロほどですから、ここは完全にシャチに軍配が上がります。
次に、身体の大きさはどうかというと、シャチは全長7メートル~10メートル、体重は4トン~8トンになります。
一方のホオジロザメは体長が4.6メートル~5メートル、体重はおおむね680キロ~1100キロほどなので、シャチが圧倒的です。
また、身体の強度も比較してみましょう。
シャチはおなかの周りもしっかりした骨でかこまれており、内臓がガッチリ守られています。
一方のホオジロザメは、内臓を守るためのかたい骨がなく、おなかに体当たりされると内臓にケガをしてしまうことがあります。
こうして見ていくと、シャチは大型のサメよりも、戦いや狩りに向いているようですがサメの方が強く、凶暴なイメージがあるのはどうしてでしょうか。
それは、シャチがあまり人を襲うことがないためだと思われます。ホオジロザメなどは世界各地で人間が襲われ、死に至る事件もあります。人間に恐怖感を与えるサメのほうが、強くて怖いイメージがついているのかもしれません。
強さの秘訣は「集団戦法」
シャチとサメは、そもそも狩りのやり方からしてまったくちがいます。
ホオジロザメなどは(あまり泳ぎが速くないこともあり)、狩りの相手に突然襲いかかります。相手が気づいていないところを襲い、するどい牙で噛みつくのです。
一方のシャチは、1匹ではなく、仲間との集団戦法で狩りをします。大きな獲物を仲間みんなで取りかこみ、相手を逃げられないようにしてから、力を合わせて獲物を狩るのです。
この方法で、アザラシやアシカはもちろん、クジラのように巨大な動物までしとめてしまいます。
また、身体から独自の音(音波)を出して仲間と連絡を取ったり、獲物の位置や大きさをはかったりします。人間も顔負けの、知能プレーをしているのです。
「シャチってなかなか、頭がいいんだな」と、思った人もいるのではないでしょうか。
シャチは海の動物のなかでも、とても知能が高い動物としてされているのです。
泳ぎのスピードや、するどい牙はもちろん、シャチが「海の王様」と呼ばれるのは、「知能の高さ」も理由のひとつなのかもしれません。
こんなに面白いシャチの生態
シャチに対して怖いイメージを持った人もいるかもしれません。しかし、シャチはただ強いだけではない、面白い個性のある動物です。
寿命は、オスが50~60歳、メスだと80~90歳まで生きるといわれています。動物としてはかなりの長生きです。
集団で狩りをするだけあって、最大で40頭ほどの群れで生活しているともいわれています。群れ全体で子供を守っており、若いメスが、他の母親の子育てを手伝ったりもします。
海の中ではとっても強くて怖い印象ですが、水族館などでは芸を見せてくれるシャチに出会えます。賢いからこそいろいろな技をショーの時に見せてくれるのですね。